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革について知りたい

 このコーナーでは、アレスのお届けする革について、より深く知ってもらえるようにまとめています。詳細は、そうか革職人会のホームページでもご覧になれます。[ そうか革職人会の紹介 ]

革の歴史

 皮革の歴史は非常に古く、素材として使われ始めたのは、遠く原始時代までさかのぼります。

 紀元前8,000年頃、人々は、皮を煙でいぶらせて腐らぬようにし、さらに動物の脂を塗り込んで使っていました。紀元前3,000年頃になると、皮を植物の汁につけることを知り、色を着けることやなめすことができるようになりました。「なめす」というのは、皮をやわらかくし使いやすいものにすることで、現在の皮革においても基本的な製造方法や考え方は変わらず、植物の汁の中に含まれる「タンニン」を使います。

 その後、ヨーロッパやアメリカなどで、かしわの木の皮からタンニンを効率的に取る方法が発見され、1760年に英国の「マックス・ブリッジ」が、タンニンエキスを使う方法を考え出しました。1858年には、クナップという人が、鉄、アルミニウム、クロムなどの金属を主とした薬品による「なめし」の方法を発見し、現在でもほとんどが「クロムなめし」という方法でなされています。

 日本では、大和時代、皮についた脂(あぶら)を取り除いただけの毛皮を、そのまま使っていました。「亜久利加波(あくりかわ)」と言います。当時、鹿、カモシカ、猪、熊などの皮革類は「弓弭(ゆはず)の調(みつぎ)」と言って、朝廷への重要なみつぎものでした。飛鳥時代のはじめに、朝鮮半島から「熱皮師(おしかわし)」が渡来し、大陸の進んだ製皮技術を伝えました。さらに8世紀以後、皮革の技術者は、朝廷の役人の下につかえ、仕事をしながら技術を子孫に伝えていったのです。

 自然が創造した芸術品とまでいわれる皮革。その豪華さや手ざわり、耐久性や通気性の優秀さから、いつの時代も変わることなく私たちのくらしと共にあり続けたのです。

皮革のできるまで

 牛皮、馬皮、やぎ皮、豚皮などのほかに、爬虫類や両生類の皮。一般に成牛皮、馬皮などのように25ポンド以上ある厚くて大きく、重い皮は“ハイド”、小牛皮、羊皮などのように薄くて小さく、軽い皮を“スキン”と区別している。
原皮は国内産の地生(じなま)を除き、通常腐敗を防ぐため、塩漬け、または乾燥、さらには半鞣し皮の処理をして、豚皮以外80%以上は米国を中心にして諸外国から輸入されている。

1.Soaking 「ソーキング」

「原皮水洗い・水漬け」といい、皮に付着している血液や汚物などを取り除き、脱水された水分を補い生皮の状態にもどし、後の薬品処理をスムーズに行なうのに貴重な工程。
使用する機械:パドルやドラム(太鼓)
主な使用薬品:界面活性剤、防腐剤
処理時間:約24時間(1〜2日間)
処理液pH:7〜8

2.Fleshing 「フレッシング」

裏打ち機(フレッシングマシン)を用いて、皮の肉面(裏面)に付着している肉片や脂肪を取り除く。

3.Liming & Un hairing 「脱毛・石灰漬け」

石灰乳に浸透させ、アルカリにより皮を膨潤させ皮のコラーゲン繊維をほぐすと共に、毛・脂肪・表皮層を分解除去する。皮革独特の柔軟性を得るのに役立つ。ドラム、パドル、脱毛機(アンヘアリングマシン)を使用。消石灰、硫化ナトリウム(ソーダ)、水硫化ナトリウム、界面活性剤。約48時間以上。処理pHは12〜13。

4.Splitting 「スプリッティング」

分割機(スプリッティング、バンドナイフマシン)を用いて皮を所定の厚さに銀面(表面)側と肉面(床皮)側の二層に分割する(鞣し後に分割する場合もある)。床皮は床革のほか食用、工業用、医療用コラーゲン製品として多方面に利用される。

5.Scudding(Beaming) 「スカッティング」

脱毛、石灰漬けの段階で除去し切れなかった毛根などを取り除き、銀面をきれいにする。垢出機(スカッティングマシン)または削刃を用いて抽出除去する。

6.Re liming 「再石灰漬け」

石灰乳に再浸透し、アルカリにより皮のコラーゲン繊維のからみをほぐす。ソフト革やスエード調革には不可欠。パドルやドラムを用いる。消石灰、硫化ナトリウム(ソーダ)など。

De liming & Bating 「脱灰(or脱石灰)・酵解(or酵素もどし)」

脱毛・石灰漬け、再石灰漬けで皮中に残留した石灰を取り除く。これにより石灰漬裸皮(強アルカリ、pH12以上)を中和し(pH8付近)、鞣し作業(酸性側、pH3)における溶剤の浸透を容易にする。酵解とは、タンパク質分解酵素により不要なタンパク質を分解除去し、銀面をなめらかにする。ドラム、パドル。硫酸(安)、塩酸、乳酸、重亜硫酸ナトリウム(ソーダ)及び酵解剤など。1〜2時間。pH:8〜9。

8.Pickling 「ピックリング」

鞣し処理に使う薬品は酸性でないと溶けないので、鞣工程に先立って皮を酸性溶液に浸潤して、鞣剤の吸収に適する状態にする。
ドラム。硫酸、ギ酸、食塩、みょうばんなど。約2〜12時間。pH:2〜3。

9.Chrome tanning 「クロム・タンニング」

クロム鞣剤(三価)を皮に浸漬させコラーゲン繊維と結合させ、耐熱性(40〜100℃)などの耐久性を与える。ドラム。クロム鞣剤。ソーダ灰、重炭酸ナトリウムなど。5時間以上15〜20時間。pH:3〜4。

10.Squeezing 「スクィージング」

革中の余分な水分を水絞り機械により絞り出す。

11.Shaving 「シェービング」

シェービングマシンで革の肉面を削り、一定の厚さに調節する。

12.Re chrome tanning 「再クロム・タンニング」

各種用途(靴や衣料、袋物用革など)に最も適した性質の革を作るためにはクロム鞣しのみでは不充分であり、合成鞣剤や天然の植物タンニン剤を使って、用途に応じた特性を与える。ドラム。無機鞣剤、合成タンニン、天然タンニン、合成樹脂鞣剤、アルデヒド系鞣剤など。約30分〜2時間。pH:4〜5。

13.Neutralization 「中和(ニュートラリゼーション)」

革中の酸をアルカリにより中和し、染料や加脂剤の浸透が均一になるように調整する。
ドラム。重炭酸ナトリウム、ギ酸カルシウムなどの中性酸。30分〜2時間。

14.Dyeing & Oiling 「染色・加脂(ダイイング・オイリング)」

染料を用いて革を希望の色に染める。染料の基本要件は、色、溶解性および皮革への染着性であり、これら要件を備えた染料を使用して素材を着色するのが染色である。一般に酸性染料、直接染料などは陰イオン性で、中〜弱酸性で革または革タンパク質によく染まる。また、加脂は精製された生油や合成樹脂を用いて、革に柔軟性や豊満性などの感触の特性を付与する。

15.Samming & Setting 「サミング・セッティング」

機械(サミング・セッテイングマシン)により、革中の余分な水分を搾り取り、革を伸ばす。

16.Drying 「ドライイング(乾燥)」

革中の染料や加脂剤を固着させるために乾燥する。自然乾燥あるいは熱風乾燥する。革の感触にとって直接的に影響する重要な工程。ガラ干し乾燥機、ガラス張り乾燥機。ネット張り乾燥機。真空乾燥機。

17.Conditioning 「コンディショニング」

革に適当な水分を与え、もみほぐし易くする。

18.Staking 「ステーキング」

ステーキングマシンにより革をもみほぐし、柔軟性や弾力性を与える。
スローカム・ステーキングマシン、ベーカー・ステーキングマシン、バイブレーション・ステーキングマシン。

19.Togging & tacking 「トギング・タッキング」

張板に釘張りするか、もしくは網板上にトグル張りし、平な状態に乾燥させ、味(水分)を除去する。ガラス張りの場合は不要。ネット張り乾燥機など。

20.Trimming 「トリミング」

製品に仕上げるのに不必要な革の縁周り、その他を縁たちする。

21.Buffing & Corecting 「バッフィング」

スエードなどにする場合、バッフィングマシンを用いてサンドペーパー掛けを行う。銀むきされた革はブラッシングマシンにより掃除される。

22.Seasoning & Spraying 「スプレーイング」

外観の美しさを色と艶で強調するとともに、革の耐久性を得るように塗料などで銀面を塗布する。手塗り機械、手吹きスプレー、自動スプレー装置、カーテンコーターなど。各種バインダー、各種ラッカー、顔料、染料など。

23.Glazing & Press 「アイロンプレス」

機械により表面を艶出し、またはアイロンする。必要により型押またはモミ作業を行う。グレージングマシン、ロールアイロン、油圧プレス、ボーディングマシンなど。

24.Measuring 「計量」

計量機にかけて革面積を計算する。単位は国内向けのデシ(DS・du)平方デシメートルと海外向けスクエア・フィート(SF、約9.3デシ)の2種類がある。ピン式計算機、光電式計算機。

25.Leather 「製品化」

バッグ、靴、ベルト、衣料、エナメル革、工業用革など各種製品へ。

皮革の種類・・・皮革は、人間の肌と同じように一つずつ、また部位(背や腹等)によっても厚みやキメ細かさ といった外観、革質に違いがあります。皮革製品は、何匹かの類似した部分をつなぎあわせて作るため、 同じデザインの同じカラーでも色目や外観に若干の違いが生じます。それゆえ、繊維製品と比べ、個性も1枚ず つ異なります。

カーフ(うし)
生後6ヶ月以内の子牛原皮を製皮したもの。牛革中のトップクラス。繊維組織が緻密でキメ細かく柔らかい。高級革製品の材料として使用。
キップ(うし)
生後6ヶ月から2年くらいのもの。カーフより粗くなるが、厚みがあり強さが増す。
カウ(うし)
生後2年以上のメスの成牛のもの。
ステア(うし)
生後3〜6ヶ月以内に去勢したオスで生後2年以上経ったもの。皮の厚みが平均してる。
ブル(うし)
生後3年以上のオスの成牛の皮。厚手にはなるが粗さが目立つ。
うま
牛革に比べ繊維構造が粗く、薄くて摩擦抵抗はやや劣る。原皮が大きく、なめらかで,靴や裏革などに使われる。子馬の革はポニーと呼ばれる。馬の尻の部分はコードバンと呼ばれ繊維が緻密で美しい光沢をもつ。
ぶた
ピッグスキンと呼ばれる。他の革に比べ摩擦耗性に優れている。革の表面に毛穴が3つずつ並んでいるのが特徴。
ひつじ
一般にシープと呼ばれる。子羊の革はラムスキンと呼ばれ軽く、柔らかく防寒材料として優れている。皮質が海面状になっていて手触りがよい。
やぎ
ゴートと呼ばれ、子山羊の革はキッドと呼ばれる。毛穴の形に特徴があり、薄く、柔軟性に富み丈夫で型崩れもしにくい。
カンガルー
カーフより上質で、丈夫かつしなやか。伸びて変形しない。
トナカイ
カリブ・スキンと呼ばれる希少品。非常に軽いのが特徴。
しか
鱈油などで油なめししたものをセーム革という。柔らかで手触りがよく、耐水性があり洗濯がきく。
ダチョー
オーストリッチと呼ばれる。毛を抜いた後の丸い風合いが特徴。
ゾウ
独特のしわと、細かく丸い粒子のきめに特徴がある。強くて丈夫。
カバ
マット調(つや消し)に仕上がったソフトな風合いが特徴。
アザラシ
しわとキメの美しさは抜群。
ワニ
クロコダイルが最高品。背の凹凸の隆起など全体にわたり引き締まった鱗片をしている。鱗片の数が多く、美しい配列のものが珍重される。
トカゲ
リザードと呼ばれる。皮質は丈夫で重厚さがある。
ヘビ
全身に美しい班紋のある錦ヘビ(パイソン)が主流。斑紋がダイヤ型の連続模様のものをダイヤモンド・パイソンと呼び、石垣状の不規則なものをモラレス・パイソンという。
サメ
シャークスキンと呼ばれる。美しい小じわと優れた耐摩擦性が特徴である。
 

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